総括質問(要旨)答弁


3月23日に開催された「予算特別委員会総括質問」

小坂義久委員の質問(要旨)と答弁を掲載します。

 

一 基幹系業務システムについて

次の3点について、区長の所見を伺う。

  1. 国は自治体クラウドを提唱しているが、クラウド・コンピューティング技術を前提とした情報システムの開発について、どう考えているのか。
  2. カスタマイズすることで開発費用が増大していると考える。パッケージソフトウェアを利用することで経費の削減が図れると考えるが、どうか。
  3. CIO補佐を活用しての、メーカー側との交渉やその効果について伺う。

 

<区長答弁>

  1. 国が提唱している「自治体クラウド」は、クラウド・コンピューティングを利用し、複数の自治体でシステムを共同利用することにより、経費の削減効果、セキュリティ水準の向上などのメリットがある。
    しかしながら、プログラムを共同で利用しているため改修を実施する際、参加している自治体の同意が必要であり、ひとつの自治体を対象とした改修や、迅速なサービスの提供がしづらいという課題もある。
    クラウド・コンピューティングは、セキュリティの向上など、メリットも多いため、今後も情報収集し、情報システムの開発に際して、効果的な活用方法を検討する。
  2. システムを新規に導入する際、経費の削減を図るため、パッケージソフトの利用を基本としている。パッケージソフトウエアは、全国の自治体を対象に設計されているため、基本的な機能しか搭載されていないことが多く、各自治体の事業内容に応じて、プログラムの改修が必要となっている。
    しかしながら、改修を実施する際には、可能な限り最小限の費用になるよう改修内容を精査し、経費の削減に努める。
  3. 本区では、適切なICTの活用を図るため、CIO補佐を設置している。
    CIO補佐は、新規システムの導入の際には、事業者の提案内容を分析・評価するとともに、既存のシステムを改修する場合においても、作業工程を精査し、必要に応じた助言を行っており、経費の削減や、適切なシステムの構築につながっております。
    今後もCIO補佐の活用により、費用対効果に優れたシステムの導入・運用に努めていく。

 

二 高齢者対策について

  1. 地域包括支援センターについて、次の3点を区長に伺う。
    機能強化型地域包括支援センターの職員体制は専門職3人とのことだが、この体制で十分なのか。
    区内の地域包括支援センターの運営について、各センターの業務量や業務内容を勘案し、現在の体制で問題は無いのか。
    地域包括ケアシステムについて、企画、調整はどの部署が担当するのか。
  2. 認知症高齢者への支援について、次の4点を区長に伺う。
    地域全体で見守る体制が必要と考えるが、今後、地域見守りネットワークをどのように強化・拡大していくのか。
    看護・介護サービスを24時間提供できる体制が必要と考えるが、どうか。
    平成28年度から永寿総合病院への補助金の対象に新たに認知症高齢者の支援機能の充実の経費が加わるが、永寿総合病院との連携計画はどのようになっているのか。
    連携先は台東病院がふさわしいと考えるが、なぜ永寿総合病院なのか。

 

<区長答弁>

機能強化型地域包括支援センターについて、各地域包括支援センターの統括調整や後方支援等を行うことで、既存の各センターの機能を強化することを目的としており、当初はこの体制で対応できると考えている。

地域包括支援センターの体制については、高齢化の進展に伴い、業務量も増加していることから今年度は必要な人員配置の見直しを行った。介護予防・日常生活支援総合事業の開始など、機能強化型と各センターの役割はより重要となることから、今後も業務量と役割の増大に応じ、適切な人員体制を確保していく。

地域包括ケアシステムも企画、調整は、高齢福祉課で行います。これからも医療、介護、住まいなど様々なサービスが一体的に提供される地域包括ケアシステムの実現に向けて、全力で取り組む。

地域の見守りネットワークについて

認知症の方を地域全体で見守り、支えていくことが重要であると私も認識をしている。現在、区では、「高齢者見守りネットワーク」を構築し、地域包括支援センターを中心に、警察や消防、民間事業者等の関係協力機関や民生委員等と連携を図りながら、高齢者の見守りを行っていく。今後も関係協力機関をさらに増やすとともに、見守りサポーター養成研修を充実させるなど地域の見守りネットワークの強化・拡大に取り組む。

次に、看護・介護サービスを24時間提供できる体制について

区内では、認知症の方に限らず、日中・夜間を通じた「定期訪問」と「緊急時訪問」により看護・介護を提供するサービスや、「通い」「訪問」「泊まり」を組み合わせたサービスなどが提供されています。また、区内8か所目のグループホームが昨年12月に開設され、さらに認知症の方も入居可能なサービス付き高齢者向け住宅が来月に開設される予定である。今後も、看護や介護を24時間提供できる体制の整備に努めていく。

次に、永寿総合病院との連携について

本区は、平成28年度から、永寿総合病院との協定に基づき、認知症高齢者の支援機能の充実を、助成の対象として新たに追加した。永寿総合病院においては、専門医や相談員の増員などによる物忘れ外来や入院治療の充実、相談窓口の改修整備などが予定されている。また、先日には、認知症の本人や家族などが情報交換や交流を図るための「認知症カフェ」が開催された。今後とも、さらに地域連携の推進や普及啓発の充実に努めていく。

次に連携先について

台東病院は、高齢者の慢性期医療を担う拠点病院として、物忘れ外来や認知症の鑑別診断等を実施している。一方、永寿総合病院は、主に急性期医療を担う区の中核病院であり、認知症専門スタッフを配置することが可能なことから、昨年8月に、東京都から「認知症疾患医療センター」としての指定を受け、医療連携の中心としての役割を担っている。したがって、台東病院に加えて永寿総合病院との連携を深めることにより、認知症高齢者に対する地域の医療提供体制の充実がより一層図られるものと考えている。今後とも、認知症高齢者が住み慣れた地域でいつまでも安心して暮らし続けることができるよう、支援に努める。

 

三 健康づくりについて

次の3点について、区長の所見を伺う。

  1. 「地域包括ケアシステム」や「介護予防」の前提にあるのが健康づくりであると考える。現行の「健康たいとう21推進計画」は、平成29年度までとなっているが、介護保険制度が変わるなど、取り巻く環境にも影響があることから、計画を前倒しで見直しをする必要があると考えるが、どうか。
  2. 健康について、区民が気軽に相談できる体制が大切である。集団指導も重要であるが、28年度は個別相談事業を充実させていくべきと考えるが、どうか。
  3. 昨年第4回定例会の一般質問で、我が会派の松尾議員が健康マイレージ事業について質問したが、健康啓発は大変重要であると考える。そこで、健康啓発の今後の更なる展開について伺う。

 

<区長答弁>

  1. 介護予防対策については、本計画の戦略的課題のひとつである「高齢期の健康づくり」の中の取組みとして掲げ、「ふれあい介護予防教室」の開催や「健康体操サポーターの育成・支援」等の事業を実施している。計画の見直しについては、これまでの取組みの成果や区民の健康意識調査の実施計画を分析するとともに、介護保険制度の改正の趣旨を踏まえ、平成29年度に実施する。
  2. 現在、栄養相談や精神保健福祉相談を実施しているほか、区民がいつでも気軽に相談できる保健師などの専門職による健康相談を随時行っています。今後も、区民の方々が、健康に関する不安や健診結果などについて、より一層相談がしやすくなるよう、各種の健診や健康啓発のキャンペーン等の機会を捉え、周知に努める。
  3. 区では、現在、「健康増進普及月間」などにおいて、パネル展示を実施するとともに、健康づくり啓発紙「けんこうの芽」を発行するなど、年間を通じて様々な啓発を行っている。今後は、まちかど健康まつりや糖尿病キャンペーンなどにおいて、地域の関係団体や健康推進委員などと連携を強化し、区民のさらなる健康啓発につなげて参りたい。これからも健康寿命を延ばしていくことを目指して、区民一人ひとりが自発的に健康づくりを行えるよう、あらゆる機会を通じて、取り組んでいく。

 

四 商店街振興対策について

商店街の空き店舗対策について、商店街役員との協議等により柔軟に対策を講じるとともに、区においても庁内連携による「空き店舗支援対策実行委員会」を立ち上げ、地域のコミュニティ交流エリアとして活用していくべきと考えるがどうか、所見を伺う。また、現行の商店街振興対策は。都と連携した制度であることから、オリジナリティが感じられない。そこで、先進的な取組みとして国・都から補助金を獲得するなど、積極的に取り組んでいくべきだと考えるがどうか、区長の所見を伺う。

 

<区長答弁>

区長就任以来、商店街の振興を最重要課題の一つとして、環境対策や外国人観光客対策等、商店街のニーズや課題に対応した施策を新たに実施するなど、積極的に取り組んできた。

来年度策定する「(仮称)産業振興計画」では、商店街の振興を重要な柱の一つとして位置づけ、商店街の活性化に全力で取り組んでいく。商店街の空き店舗対策につきましては、現状や商店街の意向・要望等を調査しており、今後、さらなる対策に向け、委員ご提案の趣旨を踏まえ、全庁的に検討していく。

 

五 教育環境の整備について

次の2点について、教育長の所見を伺う。

  1. 学校の課題解決のため、学校全体の組織力や教育力を高める「チーム学校」の取組みを行う必要があると考えるが、どうか。
  2. 読書活動について、小学校・中学校の具体的な進め方について伺う。

 

<教育長答弁>

  1. 「チーム学校」の取組みについて
    「チーム学校」とは、ご指摘の通り、学校の教員に加えて多様なスタッフが様々な校内業務について連携・分担しながら取り組む体制のことです。多様な課題を解決することが求められる学校に対し「チーム学校」として専門的な知識を有する人材が連携・協力して課題解決にあたっていくことは大変重要なことである。
    また、今回提案いただいた「START」のような取組みにつきましては、すでに、ふれあい学習のゲストティ―チャーや学校運営連絡協議会の委員として、日頃より保護者や地域の方々から学校支援にご尽力をいただいている。
    28年度からはスクールソーシャルワーカーの導入も予定されており、いじめや不登校等、解決が困難な課題に対してさらに外部と連携した取組みを進めていけるようになると考えている。また、外部との連携を強化するためには校内のマネジメント力を高めることも必要である。
    今後も学校の課題解決力の向上に向けて、校長・副校長・主幹教諭等の研修内容をさらに充実し、学校が地域と一つとなって課題解決に対応していけるよう推進してまいります。
  2. 読書には、子供の豊かな感性や考える力を育てるなど、教育的効果があることが実証されている。
    本区では、読書活動を推進するためには、読書環境の充実が重要であると考え、文部科学省の学校図書標準を踏まえ蔵書の充実を図っている。
    また、学校図書館司書を全校に配置し、授業での読み聞かせや各教科の指導内容に応じた図書コーナーの設置などの学習支援を行い蔵書を有効に活用することにより、貸出し冊数や来室者数の増加につながっているものと考えています。
    各校の取組みとしては、朝読書の時間を計画的に実施し、全校で読書カードを活用した「読書1万ページ」を行ったり、授業にブックトークを取り入れたりするなど特色ある取組みを行っている。
    さらに、図書ボランティアとして保護者や地域の方々に読み聞かせをしていただく機会を設け、地域と連携した読書活動を行い、子供たちが読書に興味・関心を持つことにつながっている。教育委員会としては、今後も、各校の特色ある取組みを普及・啓発するための研修会を充実させ、効果的な読書活動の推進を図ってまいりたい。