小坂義久「令和7年第2回定例会 一般質問」


 

1.区民生活と調和した持続可能な観光振興について

次の2点について、区長の所見を伺う。

①令和6年の訪日外客数が過去最高になリ、本区にも多くの観光客が訪れている。その一方、来街者のマナー違反の問題も浮き彫りになるなど、区民生活への影響も見られておリ、課題への対策が求められている。
このような中、将来に渡リ持続可能な観光地であり続けるためには、区民生活と調和した観光振興が不可欠であると考える。
そこで、昨年度に浅草地区をモデルケースとして実施した対策事業の結果を踏まえ、今後どのように取組みを進めていくのか。

②本区における観光施策の継続的な取組みには、財源の確保が必要であり、宿泊税の導入も選択肢の―つであると考えるが、税率等の調整や事業者からの理解など、導入にあたっては課題がある。
都において宿泊税の見直しが検討されている中、都に対し宿泊税を活用した区市町村への支援の拡充などを働きかけ、そこから得た助成金を地元住民のための施策に反映させるべきと考えるが、どうか。

【文化産業観光部長答弁】

私から、ご質問の第一、区民生活と調和した持続可能な観光振興についてのうち、浅草地区モデル事業を踏まえた今後の取組みについて、お答えいたします。

本区を訪れる来街者の増加に伴う区民生活への影響について、その課題解決に向けた取組みを進めることが重要であることから、浅草地区で、国の補助制度を活用した、可能な観光地づくり事業」を実施しました。
本事業では、ごみのポイ捨て禁止等のマナー啓発やトイレ・公衆喫煙所等の情報提供を行ったほか、参加型のごみ拾いイベントを実施したことで、外国人観光客の関心を引くとともに、メディアを通じて広く紹介されました。
一方で、事業を推進するためには、観光客や地域住民、事業者等の多様な主体との更なる関係構築が必要であることが課題として見えてきました。
これを踏まえて、今年度は新たに、マナーの啓発活動を区内の民泊を含む宿泊施設と協力して実施するほか、浅草地区では、外国人観光客も参加できるごみ拾い活動の実施、上野地区では、親子で参加できるごみ拾いイベントなどの実施を予定しています。
今後も、区民と来街者の双方が満足できるよう効果的な手法について検討を進め、生活と調和した観光の振興を図つて参ります。

私からは、以上です。

【企画財政部長答弁】

私から、ご質問の第一、区民生活と調和した持続可能な観光振興についてのうち、持続可能な観光振興に関する財源確保について、お答えいたします。

法定外目的税である宿泊税は平成14年から東京都が導入しており、その税収は観光関連事業者の経営力向上への支援や国内外への。フロモ—ション、旅行者が快適に滞在できる受入環境の整備など、観光の振興を図る都の施策に要する費用に充てられています。
現在、都は、税制調査会の「税負担水準を引き上げる方向が適当」との報告を受け、宿泊税のあり方や使途について検討を進めているところです。
この検討の動向も注視しながら、機会を捉えて、宿泊税を活用した区への支援を都に対し働きかけるなど、区民生活と調和した観光の振興に向け、適切な財源の確保に努めて参ります。

私からは、以上です。

2.高齢者に対するエアコン購入助成について

地球温暖化の影響から、毎年記録的な猛暑が続いており、熱中症により病院に搬送される人が急増し、亡くなられている高齢者も多い。
そこで、次の2点について、区長に伺う。

① 熱中症対策として、高齢者に向けてエアコンの適切な使用を促すとともに、高齢者世帯におけるエアコンの設置や使用状況を把握する必要があると考えるが、どうか。
② 熱中症になりやすい高齢者への注意喚起や予防等につなげるため、エアコンを設置していない低所得の高齢者に対して、購入費の助成を実施してはどうか。

【福祉部長答弁】

私から、ご質問の第二、高齢者に対するエアコン購入助成について、お答えいたします。

まず、高齢者世帯におけるエアコンの使用を促す啓発、並びに、設置及び使用状況の把握についてです。
区では、毎年6月に発行する「高齢者地域見守りネットワ—ク通信」に、熱中症の予防と対策について掲載し、町会回覧を活用して広く周知・啓発を行っています。
また、地域包括支援センタ—の職員が高齢者の自宅を訪問する際には、エアコンの適切な使用や水分補給を促すなど、それぞれの室内環境に応じた声掛けを行っています。
エアコンの設置及び使用状況については、今年度実施予定の高齢者実態調査において、現状を把握していくとともに、引き続き、熱中症に関する注意喚起を行って参ります。
次に、低所得の高齢者に対するエアコン購入助成についてです。
熱中症予防のために室温を適切に保つことは重要です。
区では、一般的な省エネ家電の購入や買い替えについては、都の助成制度を活用していただくようご案内していますが、今後も厳しい暑さが続くと見込まれています。
特に、高齢者は発症しやすく、重症化のリスクも高いことから、低所得の高齢者がエアコンを使用できるよう、実態調査と並行して、助成制度の検討を進めて参ります。

私からは、以上です。

3.「スフィア基準」に対応する避難所環境の改善について

被災地の避難所ではトイレや食事など環境の劣悪さが問題となっている。
このような中、避難所での生活環境を指標としたスフィア基準(※)が注目されており、国はこの基準をもとに、昨年1月に避難所運営に関する自治体向け指針を改定した。
そこで、国が参考としているスフィア基準に対する本区の認識と、同基準に対応する避難所環境の改善について、区長の所見を伺う。

※スフィア基準
人道支援における国際的な最低基準を定めたガイドライン。災害や紛争時の給水・衛生、食料確保、居住環境、保健医療の4分野で、被災者の尊厳と生存権を守るための具体的な技術基準と指標を示している。

【危機管理室長答弁】

私から、ご質問の第三、「スフィア基準」に対応する避難所環境の改善について、お答えいたします。
被災された方が、安心して避難所生活を送るには、避難者の生活環境や健康を維持していくことが大切です。スフィア基準は、こうした環境を実現するため、プライバシーや衛生環境などを確保するための重要な指標のひとつであると認識をしています。
区では、これまで、国のガイドラインやスフィア基準などを参考に、間仕切りや口腔ケア用品を配備するなど、備蓄品の拡充に努め、避難所環境の改善を図って参りました。また、キッチンカーの事業者などの協力を得て、被災者に配慮した食事が提供できる体制を強化しました。さらに、今年度策定する「災害時のトイレ指針」では、スフィア基準を反映できるように取り組んでいます。
避難所は、避難者の生命を守り、健康でストレスのない避難生活の環境を提供し、一日も早い生活復帰を支援することが求められる場所でもあります。
今後とも区では、スフィア基準などを踏まえ、避難所の環境改善を推進して参ります。

4.児童相談体制の充実・強化について

全国の児童相談所における児童虐待相談対応件数は、過去最多となっており、児童虐待防止は、社会全体で取リ組むべき重要かつ喫緊の課題である。
この間、児童相談所については、児童福祉法の改正に伴い、特別区による設置や東京都による児童相談所再編の動きなどがあり、その設置状況は様々となっている。
現状、児童相談所が設置されていない本区においては、都児童相談所などの関係機関との連携強化をさらに一歩進めていく必要があると考える。
そこで、児童相談所の設置検討を含め、児童相談体制の充実・強化を図るべきと考えるがどうか。区長の所見を伺う。

【区長答弁】

私から、ご質問の第四、児童相談体制の充実・強化について、お答えいたします。

子供達の安全安心確保に向けて、児童相談体制の充実強化を図ることは、区の重要な責務であると認識をしております。
区では、令和6年度より、「こども家庭センタ—機能」を整備し、全ての妊産婦、子育て世帯、子供の包括的な相談支援等を行う体制を整えています。
また、今年度から新たに東京都の児童相談所に従事した経験のある方をス—パ—バイザ—として迎え、その知見を活かして職員のスキル向上を図るなど、子ども家庭支援センターの機能強化に努めています。
一方、東京都とは、「都区児童相談共同運営モデル事業」を実施し、都の児童相談所と連携した、要保護児童や、その家庭への対応の強化を図っております。
区としては、さらなる連携強化に向けて東京都と協議を進めるとともに、児童相談体制の充実強化について、引き続き鋭意検討して参ります。
私からは、以上です。