小坂義久「令和2年第1回定例会 一般質問」


令和2年第1回定例会において

2月17日に行われました小坂義久議員の一般質問の要旨と答弁を掲載します。

 

1.防災対策について

① 災害から命を守るため、「防災· 減災」を区政の主流に押し上げること、区民の一人びとりが災害を「わがこと」として捉える当事者意識を持つことが重要であると考える。
そこで、次の2点について、区長の所見を伺う。
ア 災害が起こることを前提とした意識啓発や防災教育・防災活動などに取り組むことが、災害に強いまちづくりの土台になると考えるが、どうか。
イ 「平常時」と「災害時」という段階を取り払う考え方であるフェーズフリーについて、どのように認識をしているのか。

② 近年の災害において、ペットの救護対策の必要性が認識されている。
そこで、ペットの同行避難に関して、本区の現在の課題と避難所への受入態勢の整備について、区長の所見を伺う。

 

【区長答弁】

小坂議員のご質問にお答えいたします。

① ご質問の第一は、防災対策についてです。
ア まず、災害に対する意識啓発についてです。
議員のご提案のとおり、災害が起こることを前提として 自助の力を高めることは、私も大変重要であると認識をしています。
区は、これまでの防災訓練や出前講座での取組みに加え、今年度より、水害時の避難行動をあらかじめ決めておくマイ・タイムラインの作成支援を行うなど、過去の災害の教訓を踏まえつつ、区民一人ひとりの災害に対する意識や行動力の向上に取り組んでいます。
今後も防災施策を着実に推進し、区民の防災力の向上を図って参ります。

イ 次に、フェーズフリーについてです。区では、平常時のみならず災害時にも活用できるものとして、かまどベンチ、防災広場の深井戸や区役所を始めとした区立施設等に無料公衆無線LANを整備しています。
また、防災訓練において、普段使っているものを常に少し多めに備える日常備蓄を推奨することで、災害対策を普段の生活に取り入れてもらえるよう啓発しています。

② 次に、ペットの同行避難についてです。区では講習会や総合防災訓練等の機会を通じて、飼い主に対し災害に備えた心構えや準備について周知するとともに、ペットを飼育していない方にはペットの同行避難の重要性を理解していただくよう啓発をしています。
また、避難所運営マニュアルにもペットの同行避難について記載するなど、受け入れを推奨する取り組みを行っています。
その一方、飼育スペースやアレルギー対策等、様々な課題もあることから、ペットの同行避難については、引き続き、避難所運営委員会と協議して参ります。

 

2.町会の活動活性化推進について

区長は、所信表明で「地域コミュニティの衰退」を懸念し、「地域の力を最大限に活かして、だれもが活躍できる環境を整備することが重要」と述べている。
区の最大のパートナーである町会が、地域のコミュニティの核として活躍していくためには、町会への支援の再構築や加入促進条例の検討などが必要であると考える。
そこで、今後の町会活動を推進する施策についてどのように考えているのか、区長の所見を伺う。

 

【区長答弁】

ご質問の第二は、町会の活動活性化推進についてです。町会は、区政を推進するうえで大切なパートナーであります。
しかしながら、マンションなど集合住宅の増加やライフスタイルの変化など、町会を取り巻く環境は大きく変わってきており、私も、町会の方から様々な場面で町会が抱える課題を伺います。
そのため今年度、町会役員、区民、マンション管理組合を対象に「町会活動等に関する意識調査」を実施しました。
現在、集計・分析を行っているところですが「町会活動を知らない」と回答する区民が多いことや、町会とマンション管理組合のお互いが「災害時における共助」に期待を寄せていることなどが明らかになっています。
そこで来年度の事業として、町会活動を広く周知するためにアドバイザーの派遣と合わせ、都の「地域の底力発展事業助成」を活用した取組みや、マンション居住者と連携した防災訓練等の実施を予定しています。また、意識調査の結果を踏まえ、子育て中や、退職後などのライフステージに応じた町会活動への参加促進策や、活動の担い手不足への対応として、役員の負担軽減などの方策について、検討し、町会の活性化に向けた支援の充実を図って参ります。

 

3.胃がん検診に伴うピロリ菌検査について

ピロリ菌に感染している人は、感染していない人に比べると、胃がんになる確率が高いとされている。
そこで、本区では、ピロリ菌検査の有効性をどのように認識しているのか、 区長の所見を伺う。
また、がん検診の際に、ピロリ菌検査を導入すべきと考えるがどうか、併せて伺う。

 

【区長答弁】

ご質問の第三は、胃がん検診に伴うピロリ菌検査についてです。
ピロリ菌に感染している方の検査・治療は、将来の胃がんにかかるリスクの低下につながることが確認されています。
一方で、胃がん検診においてピロリ菌検査を行うことの有効性については、検診方法の構築や、それによる死亡率減少効果などを、国において調査・研究をしているところです。
本区におきましては国の指針の変更に伴い昨年10月より、胃がん検診に、胃内視鏡検査を導入して、がん検診の実施体制の充実を図りました。
ピロリ菌検査については、国の動向を注視しながら、引き続き、国の指針に基づいたがん検診を実施して参ります。

 

4.「都市型軽費老人ボーム」について

少子高齢化や核家族化が進む中、独居高齢者の数は今後も増える見通しであり、日常生活に不安を抱える低所得高齢者のための「都市型軽費老人ホーム(※)」の需要は増えるのではないかと考える。
そこで、来年度策定する「第8期台東区高齢者保健福祉計画」の施策として、「都市型軽費老人ホーム」の整備を推進すべきと考えるがどうか、区長の所見を伺う。

※都市型軽費老人ホーム
地価が高い大都市の実情に配慮して、設備· 人員基準が緩和された軽費老人ホーム。軽黄老人ホームとは、家庭環境や住宅、経済的な事情などにより日常生活を送るには不安のある高齢者が低額な料金で入居でき、食事や日常生活上必要な支援を提供する施設。

 

【区長答弁】

ご質問の第四は、「都市型軽費老人ホーム」についてです。区では、日常生活に不安のある高齢者が安心して生活できるよう、食事の提供や緊急時の対応を行う軽費老人ホームの一類型である、「ケアハウス松が谷」を運営しています。
大都市において居室面積等の基準を緩和し、利用料を低額に抑えた都市型軽費老人ホームは、低所得高齢者にとって、住み慣れた地域で安心して暮らし続けるための選択肢の―つであると考えます。
議員ご提案の都市型軽費老人ホームの整備については、来年度、「高齢者保健福祉計画」を策定する中で、検討して参ります。

 

5.台東区幼児教育共通カリキュラム「ちいさな芽」について

現在、幼児教育から小学校教育への円滑な接続に向けて、発達と学びの連続性を踏まえた教育・保育の重要性が示され、本区の幼児教育共通カリキュラム「ちいさな芽」に基づいた実践におい
てもさらなる充実が求められていると考える。
そこで、本カリキュラムが策定後どのように展開されてきたのか、教育長の所見を伺う。
また、平成26 年度から設置された「幼児教育共通カリキュラム開発委員会」によるカリキュラムの充実や発展に向けた取組内容及び実践によって見られた子供たちの変容について、併せて伺う。

 

【教育長答弁】

小坂議員の台東区幼児教育共通カリキュラム「ちいさな芽」についてのご質問にお答えをさせていただきます。
まず、「ちいさな芽」の展開についてでございます。
これまで区内すべての幼稚園·保育園・こども園及び小学校に配布し、「ちいさな芽」の趣旨を啓発し、共通の考をに立った教育・保育を推進してまいりました。また、区立の幼稚園・保育園・こども園及び小学校では「実践推進訪問」の際に教員・保育士が「ちいさな芽」に基つく指導案を作成し、教育・保育の充実に生かしてまいりました。
次に、「幼児教育共通カリキュラム開発委員会」についてでございます。本委員会は、社会の変化に伴って必要とされる教育内容に対応するため、平成26年度に設置をいたしました。近年、就学前の5歳児から、就学後の1年生前半における接続期の指導のさらなる充実が求められております。教員・保育士を委員にした開発委員会が接続期に絞った事例を考え、実際に検証保育・授業を通して検討し、「接続期カリキュラム事例集」としてまとめ、カリキュラムの充実と発展に向けて取り組んでおります。
次に、子供たちの変容につきましては、本カリキュラムに基つく実践を通して、教員・保育士が子供たち一人一人の育ちの姿を肯定的に捉えることができるようになったことで、子供たち自身の関わりにおいても、互いの良さを認め合う姿が見られるなどの報告を受けております。
教育委員会といたしましては、今後も幼児教育共通カリキュラムの考王方を各学校園に発信し、本区の子供たちが健やかに育つように「生きる力」の基礎を育んでまいります。