小坂義久「令和3年第1回定例会 代表質問」


 

令和3年 第1回定例会 代表質問

1.今後の区政の考え方について


ア 川崎市で行われた集団接種のシミュレーションで明らかになった課題を踏まえ、区においてもリハーサルを行うべきと考えるがどうか、区長の所見を伺う。
イ 高齢者施設の従事者へのワクチン接種について、入所者と同時に接種でも差し支えないと国は見解を示しているが、本区ではどのように実施するのか、区長に伺う。
ウ ケアハウスやシルバーピアの居住者、自宅で寝たきりの方、簡易宿所や住所不定の方に対するワクチン接種はどのように実施するのか、区長の所見を伺う。
エ 病院や診療所で行う個別接種について、現在どのような準備を進めているのか、区長に伺う。
オ ワクチン接種の有効性、安全性、副反応などについて、区民に分かリやすい情報発信が重要であると考えるがどうか、区長の所見を伺う。

② 永寿総合病院は、新型コロナウイルス感染症の入院病床までは確保していないが、地域の診療所から依頼される発熱患者等を積極的に引き受け、必要な検査や治療を行っている。
新型コロナとの戦いは今後も続くことから、永寿総合病院は更なる体制強化が必要であり、区はその支援を行い、地域医療の向上を図る必要があると考えるがどうか、区長の所見を伺う。

③保健所で働く職員は大変な状況にあリ、感染者数の増加は、業務負担の増加に直結する。
区長は所信表明において、「保健所人員体制の拡充を図ります」と述べたが、現在の保健所の状況と課題について、区長の所見を伺う。

【区長答弁】

小坂議員のご質問にお答えいたします。

ご質問の第一は、今後の区政の考え方についてです。
まず、ワクチン接種についてです。
集団接種会場におけるリハーサルについては、川崎市で行われたシミュレーションを踏まえ、医師会と調整しながら、区が設置する会場で実際にレイアウト等の確認を行っています。
また、シミュレーションで明らかになった課題を改善できるよう、予診票の事前配布や、基礎疾患のある方には、かかりつけの診療所で接種してもらう方法などの検討も行っています。
事前に本番を想定したリハ—サルを行い、万全を期して参ります。
次に、高齢者施設の従事者が、入所者と同じタイミングで接種することについては、施設側の体制やワクチンの流通量などの条件が整った際に、施設内でのクラスタ—対策のより一層の推進のため、実施したいと考えています。
次に、ケアハウスについては区が入所者に対しての接種体制を構築する高齢者施設に該当しますが、シルバーピアや簡易宿所は該当しないため、他の高齢者と同様に医療機関や集団接種会場で接種していただくこととなります。
寝たきりの方については、かかりつけ医による訪問診療での接種を検討しています。
住所が不定の方については、台東区に居住実態があり、他の自治体から接種券を受け取ることができない、やむを得ない事情がある場合には、区に申請をしていただくことになります。
次に、個別接種の準備は、区内4病院で、超低温冷凍庫の設置を進めるとともに、接種体制をとることができる曜日や時間等を調整していきます。
また、区内4病院と、集団接種会場で行う接種の予約については、今後、区が設置するコールセンタ—等で対応する予定です。
各診療所での接種については、現在、ワクチンの小分けや輸送方法などの検討をしており、まとまり次第、医師会等と実施する診療所について調整して参ります。
次に、情報の発信についてです。
ワクチンの接種に当たっては、感染症予防の効果と副反応のリスクの双方を理解したうえで、接種を受ける判断をご自身でしていただくことになります。
そのため、接種券の発送にあわせて、区民が必要とする情報を個別にお知らせします。
また、ワクチンに関する様々な情報について、国や都が公開する情報とあわせ、区公式ホ—ムペ—ジや広報たいとうをはじめ、各種広報媒体を活用し、随時、正確にわかりやすく発信して参ります。

次に、医療提供体制についてです。
永寿総合病院は、政策的医療を確保し、本区の地域医療の中核を担う病院として、これまで適切にその役割を果たしています。
昨年、新型コロナウイルス感染症により休診となりましたが、現在は、院内の感染防止体制を整え、安全・安心を最優先にした医療の提供に努めています。
また、年末年始には、24時間体制で、発熱患者等の診療・検査体制を確保するなど、コロナ禍における地域医療を支えています。
今後の永寿総合病院の体制強化については、「中核病院運営支援協議会」で引き続き協議を行い、その結果に基づき、地域医療の維持・向上に繋がる支援を実施して参ります。

次に、保健所の状況と課題についてです。
議員ご指摘のとおり、保健所では感染者の発生に応じて、療養先の調整や積極的疫学調査、これらに伴う事務処理、区民からの相談等様々な対応が必要となり、患者数の増加にあわせて、業務量も膨大になります。
一方で、健診や母子保健、食中毒予防対策等の通常業務も、区民の命と健康を守るためには疎かにはできません。
このため、昨年度末から、区の保健師全員に保健予防課への兼務発令を行う等、全庁的な応援体制を整え、その後も適宜、職員の異動や兼務発令、会計年度任用職員の採用などにより人員体制を充実し、感染者毎のきめ細かな対応を継続してきたところです。
また、本年1月には、ワクチン接種に向けて職員を配属し、更に今回、新型コロナウイルスワクチン接種担当部長及び担当課長を設置し、体制強化を図って参ります。
今後とも、速やかなワクチン接種体制の確立とともに、感染拡大に応じて確実に感染症対策を推進できる体制を構築して参ります。

2.令和3年度予算案について

次の3点について、区長に伺う。

①区の財政状況は、歳入では特別区交付金や特別区税の減収が見込まれる一方、歳出では行政需要が増大しており、これまで以上に厳しい財政運営が強いられる。
このような状況のもと、どのような思いで予算を編成したのか、所見を伺う。

② 区政運営の4つの柱に基づく事業の内容について、伺う。

③ 基金活用に係る情報発信について、所見を伺う。

【区長答弁】

ご質問の第二は、令和3年度予算案についてです。
まず、当初予算に込めた思いについてです。
令和3年度予算は、議員ご指摘のとおり、大変厳しい財政状況の中での編成となりました。
私は、基礎的自治体の最大の使命は、区民の生命と暮らしを守り抜くことだと考えています。
区では、これまで、新型コロナウイルス感染症対策として、PCRセンターの運営や、中小企業を対象とした特別融資の実施など、区民や事業者を守り支える様々な取組みについて、迅速に実施して参りました。
令和3年度は、このような新たな行政課題への対応に加え、増大する社会保障関連経費や、浅草公会堂の改修など、既に着手している大規模事業を実施できるよう、予算を確保しました。
私は、この予算を着実に執行することにより、区民の生命と暮らしを守り抜き、「ひと」と「まち」が輝く明るい未来を築き上げるために、全力で区政運営に取り組んで参ります。

次に、区政運営の4つの柱に基づく事業についてです。
まず、感染症対策として、特別養護老人ホ—ムの新規入所者などに対するPCR検査や、介護・障害福祉サービス等事業者に対する備蓄経費の助成などを行います。
また、区民の生活や事業者を支えるため、子供食堂や学習支援を行う団体への支援の拡充や、中小企業を対象とした相談体制の強化などを実施します。
また、区民の利便性の向上や来庁機会の削減を図るため、行政手続きのオンライン化やキャッシュレス決済などを推進します。
さらに地域の活性化を図るため、台東区商店街連合会が実施する中元期及び歳末期の売出し事業の支援や、国立西洋美術館の世界文化遺産登録5周年を記念した事業などを実施します。

次に、基金活用に係る情報発信についてです。
区では、令和元年度から予算案の概要などにおいて、基金の活用額や残高の推移を掲載し、併せて区公式ホ—ムページで公表しています。
今後とも、持続可能な財政基盤を堅持できるよう、将来の需要や基金残高等に留意しながら、基金を活用するとともに、具体的な充当事業を示すなど、区民にわかりやすい情報発信の充実に努めて参ります。

3.観光戦略の見直しについて

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、全世界的に人の移動が制限され、観光産業は甚大な被害を受けている。
そこで、次の2点について、区長の所見を伺う。

① 今後の観光客の行動変容等を踏まえ、観光のあり方や発想の転換を模索しつつ観光戦略を見直し、コロナ収束後にいち早く来街者を呼び込む準備が必要であると考えるが、どうか。

② 観光事業者に対する支援なども必要であると考えるが、どうか。

【区長答弁】

ご質問の第三は、今後の観光振興の取組みについてです。
まず、観光振興の取組みについてです。
新型コロナウイルス感染拡大により、観光客が激減し、区内観光事業者は甚大な被害を受けています。
私も議員と同様、コロナ収束後に来街者を迎え入れるためには、変容した観光客の行動等を踏まえた観光振興策の検討が必要であると認識をしています。
イベントなどの事業が実施できない現在は、感染予防講習会の実施や、感染拡大防止対策に取り組む事業者の情報発信等を進めています。
また、国内旅行者の新たな二—ズに対応した観光商品開発の後押しや、集客イベント以外の手法による年間を通した誘客の検討を進めています。
今後、観光関連団体や関連事業者の意見も伺いながら、先を見据えた観光振興の方向性について検討して参ります。

次に、観光事業者への支援についてです。
区では、昨年12月に2日間にわたり区内観光事業者と大手旅行代理店を交えた観光商品開発のためのマッチング商談会を開催しました。
宿泊、飲食、体験など58社が参加し、 262件の商談が行われ、コロナ禍にあっても、新たな取組みにチャレンジしようとする事業者の思いを強く感じたところです。
さらに、緊急事態宣言を受け、新たに中小企業診断士による出張相談会や、区職員による事業者訪問を行う等、より丁寧な情報提供に努めるとともに、産業振興事業団において、事業の転換や多角化など新たなビジネスに取り組む事業者への支援を展開しています。
まちの活力を取り戻し、持続的な発展に繋げるため、今後も事業者への相談体制の充実や、観光客のニーズに合致した商品開発、販路拡大などの事業者支援に積極的に取り組んで参ります。

4.ポストコロナへ向けた区長の基本姿勢について

ポストコロナ時代を迎えるにあたり、区民に対する力強いメッセージと、未来志向の希望溢れるこれからの台東区像について、区長の所見を伺う。

【区長答弁】

ご質問の第四は、コロナ後に向けた基本姿勢についてです。
区では、感染症の影響を最小限に抑え、「ひと」の活力と「まち」の魅力が最大限に発揮されるよう区民の生命と暮らしを守り、事業者を支えるための取組みを着実に推進して参りました。
また、ウィズコロナの時代における今後の区政の展開に当たっては、4つの柱を基に、感染症や社会経済活動の状況に応じて、各柱の比重を適切に調整しながら施策を展開して参ります。
長期にわたる感染症との闘いの中で、日々の暮らしや事業活動に重大な影響が生じています。
私は、そうした影響による社会の変革を的確に捉えながら、区民の皆様とともに前を向いてまちの活力を取り戻し、本区の明るい未来を切り拓いていきたいと、考えています。
そのため、各分野の施策や取組みを着実に推進するとともに、長期総合計画の改定を行い、「ひと」も「まち」も輝くことで、世界中の人々を惹きつけ、ともに更なる活力を生み出す「世界に輝くひとまちたいとう」実現を図って参ります。