小坂義久「平成29年第2回定例会 一般質問」


平成29年第2回定例会において

6月12日に行われました小坂義久議員の一般質問の要旨と答弁を掲載します。

 

1.長時間労働の是正について

① 「働き方改革」の喫緊の課題である長時間労働をどのように是正するのか、次の3点について区長に伺う。
ア 長時間労働の弊害と改善について、伺う。
イ 長時間労働是正への取組み状況について、伺う。
ウ 今後の新たな対策について、伺う。

② 文部科学省から平成28年度の教員勤務実態調査の結果によると、国が示す「過労死ライン」に相当する「週60時間以上勤務」の教員が、中学校では57.7%、小学校では33.5%に上るとのことである。公立学校の教員は働き方改革の蚊帳の外に置かれているのが現実で、残業の上限を規制し、健全な労働環境を守る仕組みを整えるべきであると考える。
そこで、次の3点について教育長の所見を伺う。
ア 文部科学省による28年度の教員勤務実態調査の調査結果について、どのように考えているか。
イ 本区の小中学校教員の勤務の現状についてどのように認識しているか。
ウ 部活動などの課外活動に対応するために制度化された「部活動指導員」の活用についてどのように考えているか。

 

【区長答弁】

①まず、長時間労働については、仕事と家庭生活の両立を妨げる要因の一つとなるほか、健康障害のリスクや疲労による事務効率の低下などにつながるものと認識しています。
国は今年3月、罰則付きの残業時間の上限規制導入などを基本方針とする「働き方改革 実行計画」を定め、平成31年4月には関連法案の施行を目指しています。
この規制は、民間事業者を対象としたものですが、本区においても、当然に上限規制を守るべきものと考えています。
次に、是正(ぜせい)に向けた取組みについてです。
本区では、昨年策定した「特定事業主行動計画」において、32年度までに月(つき)平均の超過勤務時間数(すう)を1割以上縮減(しゅくげん)する目標を掲(かか)げ、これまでの「ノー残業デー・ノー残業ウィーク」や、閉庁後の一斉(いっせい)消灯などの取組みに加え、勤務時間の臨時(りんじ)変更制度の導入などに、取り組んでいます。
しかしながら、複雑化、高度化する行政ニーズや、新たな区政課題への迅速な対応を求められる中(なか)で、更なる対策が必要と考えています。
今後の対策については、適切な人員配置や業務改善、職員の意識の醸成等(とう)が重要です。
また、職場ごとの個別具体的な解決策を講じるためには、今まで以上に管理職のマネジメント力(りょく)や、職員一人ひとりの能力の向上も、必要であると考えています。
そのため区では、本年4月に「働き方改革 推進委員会」を設置し、全庁的な検討を開始したところです。
私は、区民サービスの向上と職員の 長時間労働是正(ぜせい)の両立を目指し、取組みを進めて参ります。

【教育長答弁】

②小坂議員の長時間労働の是正についてのご質問にお答えをさせていただきます。
まず、文部科学省による平成28年度の教員勤務実態調査の結果についてでございます。
長時間労働が常態化している現状は、教育の質の低下を招きかねない課題の多い状況であり、改善が必要であると私も認識いたしております。
次に、本区の小・中学校教員の現状についてでございます。
昨年度実施した勤務意識調査において、小学校で約70%、中学校で約80%の教員が、平日に2時間以上の時間外勤務をしている状況でございました。
議員ご指摘のとおり、学校現場における校務事務の改善は、非常に大切な問題であると考えております。
今後、教育委員会からの調査や校務分掌の見直し等を含め、更なる業務改善の方策を検討してまいります。
次に、部活動指導員についてでございます。
部活動指導員を活用することにより、中学校教員の部活動に関わる勤務を軽減することができるものと考えております。
教育委員会といたしましては、東京都教育委員会の動向を注視し、その活用について検討してまいります。

 

2.「バリアフリー観光」の取り組みについて

NPO法人伊勢志摩バリアフリーツアーセンターでは、障害のある方々を新しいマーケットとして捉えている。観光地である台東区においても、障害のある方々の誘客を図ることで、観光客の増加、増収を実現し、身体の不自由な方々と共に満足できる社会の実現を目指すことが重要であると考えるがどうか、区長の所見を伺う。
また、障害者や高齢者に合わせた旅の提案をする「パーソナルバリアフリー基準」の考え方を取り入れ、積極的に誘客促進を図るべきと考えるがどうか、併せて伺う。

 

【区長答弁】

区ではこれまでも、観光客の利便性の向上を図るため、交通施設やトイレなどのバリアフリー情報の発信、観光客に対する車(くるま)いすの貸出しのサービスを行っています。
また、浅草文化観光センターにおいては、民間のバリアフリー旅行 相談窓口と連携した案内も始めたところです。
議員ご指摘のとおり、障害のある方が、十分満足される旅行を提供する取組みは、旅行需要を喚起(かんき)し、地域経済の活性化に寄与することから、私も重要であると認識をしています。
区としても、障害のある方だけではなく、今後ますます需要が見込まれる高齢者や外国人観光客等(とう)、あらゆる方が安心して快適に観光ができるよう、民間事業者との連携を強化し、バリアフリー情報の収集・発信に努め、更なる誘客(ゆうきゃく)促進に繋げて参ります。

 

3.トイレ対策について

① 公園・公衆トイレは、まちづくりにおいても大切であり、綺麗で使いやすいことが最低条件である。そこで、次の3点について区長に伺う。
ア 長期使用を前提とした改築ではなく、10から20年程度で更新していくことにより、改築に係るコストの削減が図られ、施設・設備の利便性向上が果たせると考えるがどうか、所見を伺う。
イ 未改修又は未改築のトイレ10棟については、整備のスピードを上げ、東京2020大会までにすべての工事を終えるべきと考えるが、どうか。
ウ 公園トイレについては、改築後かなりの年月が経過しているものも多いが、これらの再整備をどのように計画していくのか、伺う。

② 次の3点について、区長の所見を伺う。
ア 本区の区有施設においては、オストメイト対応トイレが少ない現状であるため、今後、この設備の整備を推進すべきと考えるが、どうか。
イ スペース等の制限により、オストメイト対応トイレの導入が困難な場合は、簡易にオストメイトへの配慮ができる前広な便座への取り替えを推進すべきと考えるが、どうか。
ウ 災害時の対応として、オストメイト用のストーマ装具の確保策を推進すべきと考えるが、どうか。

 

【区長答弁】

①まず、公衆・公園トイレ整備についてです。
清潔で使いやすいトイレを整備することは、観光振興やまちづくりを推進していく上で重要であると認識しています。
本区の公衆・公園トイレについては、安全面(めん)、管理面(めん)を踏まえ、耐久性のある造りとなっています。
このうち、道路脇(わき)などにある公衆トイレは、敷地等(とう)に制約があることから、当面、内外(ないがい)装(そう)や設備を更新していくことで、利便性の向上を図って参ります。
また、公園トイレについては、園内にスペースの余裕があることから、改築の際は、ご提案の内容も含め、検討して参ります。
次に、未改修・未改築(かいちく)のトイレの整備についてです。
公衆トイレについては、順次、改修工事を行ってきており、未改修の7棟(とう)についても、平成32年度までに改修していく予定です。
未改築(かいちく)の公園トイレ3棟(とう)については、今年度中に1棟(とう)を整備し、残り2棟(とう)については、老朽度(ど)や利用実態など、様々な観点から早急に検討して参ります。
次に、改築後に年数が経過した公園トイレの再整備についてです。
私は、外国人観光客など、来街者の増加を見据(す)え、東京2020(ニ―ゼロニ―ゼロ)大会までにトイレの洋式化を先行して実施していきたいと考えております。
その上で、「さわやかトイレ 整備方針」に基づき、それぞれの公園にふさわしい、個性あるトイレとして、今後も、計画的に整備を進めて参ります。

②次に、区有施設へのオストメイト対応トイレの設置についてです。
東京2020(ニ―ゼロニ―ゼロ)大会を控え、私は、区有施設のユニバーサルデザイン化の一層の推進が必要であると認識しています。
その一環として、区は、新築工事や大規模改修工事等(とう)の機会を捉(とら)え、これまで24施設において、オストメイト対応のトイレの整備を進めて参りましたが、まだ、十分とは言えない状況にあるものと考えています。
今後は、今年度着工する「山谷堀公園」や「蔵前小学校」等(とう)へ、オストメイトの方々に配慮したトイレを設置するとともに、既存の施設においても、トイレスペースの拡張など、整備が可能な場合においては、
導入を進めて参ります。
次に、議員ご提案の便座の取換えについては、流しなどの設備やスペースを必要とせず、一般トイレでの簡易な改造によりオストメイトの方々がトイレを利用しやすくなることから、有効な手段であると考えています。
今後、関係団体や、実際に利用される方々などのご意見を伺いながら、導入に向けた取組みを進めて参ります。
次に、災害時(じ)のストーマ装具の確保策についてです。
オストメイトの方々が、災害時(じ)にもストーマ装具を確実に確保できる体制を構築することは、私も必要であると考えています。
現在区では、「ストーマ装具の形状に個人差があること」や、「倉庫等(とう)での管理面の課題」から、各自で備蓄してもらうことをお願いしているところです。
今後については、この自助(じじょ)の取組みに加え、汎用(はんよう)性のある装具も開発されていると伺っておりますので、そのような装具を一定数備蓄することも検討し、確保して参ります。