小坂義久「平成30年第3回定例会 一般質問」


平成30年第3回定例会において

9月19日に行われました小坂義久議員の一般質問の要旨と答弁を掲載します。

 

1.高齢者雇用に関する考えと対策について

高齢者が意欲を持って働ける環境を整備し、労働参加の促進を図ることは、所得の向上や消費の拡大につながると考える。
そこで、次の4点について、伺う。
①  東京都が開始した「離職保育士届出制度」について、区ではどのように周知しているのか、教育長に伺う。
また、離職した保育士の情報を把握しているのか、併せて伺う。
②  保育分野における高齢者の雇用について、区ではどのように対策しているのか、教育長に伺う。
③ 地域医療介護総合確保基金の活用による、高齢者の介護分野への参入に向けた区の今後の展開について、区長の所見を伺う。
④ 高齢者の雇用について、区長の所見を伺う。

 

【教育長答弁】

① 小坂議員の高齢者雇用に関する考えと対策についてのご質問にお答えをさせていただきます。
まず、「離職保育士届出制度」の周知等についてでございます。
東京都は、離職した保育士の再就職の支援を目的に離職保育士の届出制度を平成29年4月から開始いたしました。本制度は、保育の担い手確保のための有効な手段であり、東京都では、ホームページ等で周知を行っております。本区におきましても、窓口でのポスターの掲示やご案内の配布により、周知に努めているところでございます。
また、本区における離職保育士の情報につきましては、児童福祉法に基づく保育士登録を東京都が管理していることから、区が把握した場合には、東京都に情報を提供してまいります。

② 現在、区立認可保育所では、非常勤職員の採用に際して、保育に関するスキルや意欲などを重視する観点から、年齢制限を設けず、広く募集を行っております。その結果、非常勤職員の約16%が65歳以上となっているところでございます。
また、私立認可保育所におきましても、高齢者を配置基準以外に非常勤職員として雇用した場合には、運営費の加算があり、高齢者の働く場を提供しております。
教育委員会といたしましては、高齢者の雇用につきまして、引き続き、適切に対応してまいります。

【区長答弁】

③ 少子高齢化が進行する中(なか)で、高齢者が意欲を持って働くことができる環境を整備していくことは、私も重要であると考えています。
まず、介護分野への今後の展開についてです。
現在、介護分野においても、就労に年齢制限はなく、高齢者も意欲的に働いています。
一方で、介護人材の不足は区においても重要な課題であり、今年度から区内介護サービス事業所(しょ)への就労と定着(ていちゃく)の促進を図るため、資格取得に要(よう)する費用助成を開始したところです。
今後は、他(た)自治体の取組みも参考にしながら、高齢者が介護の担い手として活躍できるよう、国の基金の活用も含め、検討して参ります。

④ 国では、高齢者が健康で、意欲と能力のある限り年齢にかかわりなく働き続けることができる「生涯 現役社会」の実現を推進(すいしん)しています。
区では、働き方(かた)改革への対応を含め、高齢者をはじめ、すべての労働者にとって働きやすい職場環境を整備するため、事業主(ぬし)に対する相談や支援に努めています。
また、就業(しゅうぎょう)希望者に対して、ハローワークをはじめ、関係機関と連携し、就業相談 や セミナー等(とう)を実施し、就労機会の拡大に取り組んでいます。
今後とも、高齢者の持つ力(ちから)を発揮していただけるよう、就労の促進(そくしん)を図って参ります。

 

2.「認知症との共生広がる社会」について

次の3点について、区長の所見を伺う。
①  認知症の方が暮らしやすい地域づくりを進めるには、悲観から希望への見方を転換することが重要となってくると考えるが、どうか。
また、地域の支え合いの実践について、併せて伺う。
②  認知症の方が、秘めている力を地域で発揮する機会として、本人ミーティングを開催すべきであると考えるが、どうか。
また、既存の認知症カフェの現状について、併せて伺う。
③  更なる医療・介護連携を図る情報連絡ツールとして「つながりノート」の導入を提案するがどうか。
また、各介護サービスにおける認知症への対応をする上で、認知症高齢者の実態把握が必要と考える。
そこで、区における認知症高齢者に関する様々な数値を一覧としてデータ化し施策に反映すべきと考えるがどうか、併せて伺う。

※「つながりノート」とは
認知症の人と家族が支援に関わる医療・介護の関係者と連絡体制を作るための医療介護情報連携ツールである。それぞれの立場から、日々変化する症状に対する戸惑いや悩み、また、介護に対する質問を書き込む交換ノートとしての役割を担う。

 

【区長答弁】

①  私も、議員同様、認知症の方(かた)が希望を持って暮らしていける地域づくりを推進(すいしん)するためには、まずは、地域の理解を深めることが不可欠であると認識をしています。
区では、各(かく)地域包括(ほうかつ)支援センターに「認知症 地域支援 推進(すいしん)員」を配置し、専門的な相談支援や出張型(がた)相談、普及啓発等(とう)を行(おこな)っています。
また、幅広い年齢層(そう)や、様々な関係機関の方々(かたがた)にも「認知症サポーター 養成講座」を受講していただき、サポーターは既(すで)に一万人を超えています。
さらに、「高齢者 地域見守りネットワーク」として関係機関と協定を締結し、地域住民とともに、見守りを実施しています。
今後も、積極的にサポーター養成に取り組むとともに、見守りネットワークの拡充(かくじゅう)を図り、地域の理解が深まるよう努めて参ります。

②  本人ミーティングは、認知症の方(かた)が、新たな生きがいを持てるように支援するとともに、区の取組みに認知症の方(かた)の視点を反映できる手段の一つであると認識をしています。
区では、医療機関と地域包括(ほうかつ)支援センターが連携した「認知症カフェ」を5か所で実施しています。
昨年度は42回実施し、本人 や その家族だけでなく、地域の方(かた)も含め多くの方々(かたがた)に参加していただいており、交流の場(ば)として定着してきています。
今後は、認知症カフェの充実を図る中(なか)で、本人ミーティングのあり方(かた)についても検討して参ります。

③  議員ご提案の「つながりノート」につきましては、認知症の方(かた)や その家族と、医療・介護の専門職との有機(ゆうき)的な連携(れんけい)体制を構築するツールの一つと考えられますので、先進事例を参考に、関係機関との調整等(とう)の課題を含め、研究を進めて参ります。
また、認知症高齢者については、事業の中(なか)で様々な数値を把握していますので、整理分析を行い、今後も、より施策に反映できるよう努めて参ります。

 

3.ひきこもり支援について

次の2点について、区長に伺う。
① 本区では、ひきこもりの人のうち経済的に困窮した方を対象に、今年度より、就労準備支援事業を実施している。また、厚生労働省においては、自治体の担当者がひきこもりの人を訪問し就労体験への参加を促す「地域におけるアウトリーチ支援等推進事業」を開始した。
そこで、就労準備支援事業の課題と、本区におけるアウトリーチ支援等推進事業の今後の展開について、伺う。
② これまで、ひきこもりは子供や若者の問題と考えられてきたが、近年は長期化、高年齢化しており、「8050問題」と呼ばれる問題も生じている。
ひきこもりは、本人、家族への支援として、自治体をはじめ様々な団体が支援を行っているが、若年期からの支援が重要であると考える。
そこで、臨床心理士や各種団体による相談事業の概要と区の取組み状況について伺う。

※「8050(ハチマルゴーマル)問題」とは
「80代の親とひきこもる50代の子ども」という親子を表す。ひきこもる本人、そして親の高齢化が進んで、経済的にも精神的にも追い詰められ、孤立が深刻化するという問題のこと。

 

【区長答弁】

① ひきこもりの方(かた)のうち、経済的に困窮している方(かた)については、「生活困窮者 自立支援(しえん)制度」に基づき、支援プランを作成し、課題解決の支援を行(おこな)う 自立相談(そうだん)支援や就労準備(じゅんび)支援 等(とう)を実施しています。
就労準備(じゅんび)支援は、社会との関わりに不安を抱えているなど、直(ただ)ちに就労することが困難な方(かた)を対象に、カウンセリング や 就労訓練を通(つう)じて、生活習慣の改善や
コミュニケーション能力の向上を図るものです。
事業の課題としては、支援の対象となる方(かた)が、必要性を理解しないことや、新しい環境に拒否感があることなどが挙げられます。
引き続き、事業の周知も含め、丁寧な説明に努めていきます。
厚生労働省の「アウトリーチ支援等(とう) 推進事業」を活用した更なる展開については、現在も、支援員によるアウトリーチを実施していることから、今後の実績等(とう)を踏まえ、検討して参ります。

② 議員ご指摘の、ひきこもりの長期化 と 親の高齢化による、いわゆる「8050(ハチマルゴーマル)問題」については、私も認識をしています。
区では、ひきこもりなど社会的に自立が困難な状況にある若者とその家族を支援するため、臨床心理士による相談を実施し、必要に応じて医療や就労など次の支援先につなぐ対応をしています。
また、ひきこもりについての啓発を 目的とした講演会や家族同士の情報交換の場(ば)を提供しています。
さらに、ひきこもりの相談は多種多様であることから、民間においても、臨床心理士や社会福祉士のほか、ファイナンシャルプランナーや司法書士等(など)が専門的な相談を行っています。
今後は、今年度実施する、次世代育成(いくせい)支援に関するニーズ調査の中(なか)で、18歳から39歳を対象とした調査を新たに実施し、若者のニーズやひきこもりの実態の把握に努め、
更なる取組みを検討して参ります。
ひきこもりは、本人の心境や家庭環境など、その要因が複雑であることから、引き続き臨床心理士などの専門家と連携しながら、自立に向けた取組みを若年期から積極的に進めて参ります。

 

4.「豊かな地域コミュニティが息づくまちづくり」について

町会は、本区の地域コミュニティの核として、これまで地域社会を支えてきたが、町会役員の高齢化や後継者不足など、様々な課題が発生してきている。また、最近のマンションは、セキュリティが厳しく、マンション内でも気軽に声を掛け合う環境が作りにくい状況がある。
豊かな地域コミュニティは、地域の課題を共有し、いざという時に一緒に解決できる関係であると考える。
そこで、町会を核とした本区の地域コミュニティの在り方について、どう考えるのか。
また、その形成に向けてどのような対策を展開していくのか、併せて区長の所見を伺う。

 

【区長答弁】

私は、町会の皆様は、区政を推進する上で大切なパートナーであると考えています。
町会の活動 や 地域行事などは、住民同士が様々な場面で繋がりをもって交流、活躍ができ、協力し合えるコミュニティづくりの基盤となっています。
また、議員ご指摘のとおり、マンション内(ない)のコミュニケーション、さらにはマンションと町会との連携が、地域コミュニティづくりに大変重要であると考えています。
区ではこれまでも、転入者等(とう)に対し、町会が行(おこな)っている地域のふれあい活動などの案内や、集合住宅の建築主(ぬし)等(とう)に対し、入居者の町会への加入協力を求めることなどの対応を行(おこな)って参りました。
今後は、現在行(おこな)っている「マンション実態(じったい)調査」の結果などを参考に、新たな視点で地域が繋がるための課題を整理し、より豊かな地域コミュニティづくりの方策(ほうさく)を検討して参ります。